むせ返るような芳香、甘い蜜。蝶のような優雅さで。 そのカラダに鋭い棘を隠して。
はじめに
ようこそ、偽アカシアへ。
こちらは私、朝斗の今までの作品展示室となっております。
過去作品から随時追加予定です。
同じものを掲載していますが、若干の推敲をしている場合もあります。
詳しくは『はじめに』をご一読ください。
2008.5.6 Asato.S
カテゴリー《Story》内にある短~中編の目次Bになります。
随時追加予定。
1話目にオンマウスで説明が出ます。
入り江の夜想曲 前 後
迷走/瞑想 □
瑠璃色の金平糖 上 中 下
満月の夜の幻想曲* 1 2 3 4 5 6 7 8 9
タソカレトキ ※ホラー注意 前 後
そして僕達は大地を離れた 前 後
Over the Door □
Answer for me □
天使の微笑 □
徒花 揺らめいて 壱 弐 参 肆 伍 陸 漆 捌
デジャヴ・ゲーム ※ホラー注意 上 中 下
嶋原結遊女語 □
闇路に紅き翅 □
深夜静寂 □
月に叢雲花に風 □
陽炎稲妻水の月 □
黎明 一 二 三 四 五 六 七
夕闇の果て □
ありし日の落日 1 2 3
竜胆 リンドウ □
Silver.Unwritten,white 前 後
精霊祭の奇跡 ◆
精霊祭の軌跡 ◇
精霊祭の輝石 ◆
Shooter □
『暗い部屋』 □
狐雨、翠雨 一 二 三 四 五
随時追加予定。
1話目にオンマウスで説明が出ます。
↑Old New↓ *印は本家未公開作品。
Night 暗闇と寂しさの物語
Night 暗闇と寂しさの物語
入り江の夜想曲 前 後
迷走/瞑想 □
瑠璃色の金平糖 上 中 下
満月の夜の幻想曲* 1 2 3 4 5 6 7 8 9
タソカレトキ ※ホラー注意 前 後
そして僕達は大地を離れた 前 後
Over the Door □
Answer for me □
天使の微笑 □
徒花 揺らめいて 壱 弐 参 肆 伍 陸 漆 捌
デジャヴ・ゲーム ※ホラー注意 上 中 下
嶋原結遊女語 □
闇路に紅き翅 □
深夜静寂 □
月に叢雲花に風 □
陽炎稲妻水の月 □
黎明 一 二 三 四 五 六 七
夕闇の果て □
ありし日の落日 1 2 3
竜胆 リンドウ □
Silver.Unwritten,white 前 後
精霊祭の軌跡 ◇
精霊祭の輝石 ◆
PR
「Trick or treat!」
窓の外、近所のどこかの騒ぎ声が耳に届く。
トリック・オア・トリート。ハッピーハロウィン。そんな日に風邪をひいているなんて、本当につまらない。俺は不貞腐れて、すっかり熱の下がった体で空を仰いだ。
すると、何故だか女の子が宙に浮いている。
それは別に彼女が木に登っているとかそういうことじゃなくて、月の弱い光の下、女の子がホウキにまたがってふわふわしているのだ。しかもハロウィンらしく、黒いマントをまとって。
ホバリング、っていうんだっけ。
夢ともまぼろしともつかないままで、数メートル先に浮かぶ彼女をぼんやりと見る。
すると女の子も俺の存在に気がついたらしく。ばっちり目と目があってしまった。
「あれ、見つかっちゃった」
女の子は焦るでもなく、ちょっと意外そうに俺を見つめ返す。
「驚かないの?」
黒いマントの中で女の子は首をかしげる。
俺はというと、それにそっけなく返事をするだけ。
「だって、魔女だろ」
「まぁそうだけど。あ、じゃあ、これ」
目の前に差し出された右手。
促されるままに手を伸ばすと、掌の上にコロリとなにかが落とされた。
「あげる。お大事にね」
そしてまた風のように飛んでいく。
風のやんだ夕闇にはもう誰もいなくて、まるでそこに最初から誰もいなかったように静かだった。
月光に照らしてみると、掌に残ったのはカラフルな包み紙。捻り目を開いてみると中からオレンジ色の飴玉が出てきた。
精霊からお菓子を貰うなんて変な話だ。
俺はそれを口に放り込んで、クスクスと笑った。
窓の外、近所のどこかの騒ぎ声が耳に届く。
トリック・オア・トリート。ハッピーハロウィン。そんな日に風邪をひいているなんて、本当につまらない。俺は不貞腐れて、すっかり熱の下がった体で空を仰いだ。
すると、何故だか女の子が宙に浮いている。
それは別に彼女が木に登っているとかそういうことじゃなくて、月の弱い光の下、女の子がホウキにまたがってふわふわしているのだ。しかもハロウィンらしく、黒いマントをまとって。
ホバリング、っていうんだっけ。
夢ともまぼろしともつかないままで、数メートル先に浮かぶ彼女をぼんやりと見る。
すると女の子も俺の存在に気がついたらしく。ばっちり目と目があってしまった。
「あれ、見つかっちゃった」
女の子は焦るでもなく、ちょっと意外そうに俺を見つめ返す。
「驚かないの?」
黒いマントの中で女の子は首をかしげる。
俺はというと、それにそっけなく返事をするだけ。
「だって、魔女だろ」
「まぁそうだけど。あ、じゃあ、これ」
目の前に差し出された右手。
促されるままに手を伸ばすと、掌の上にコロリとなにかが落とされた。
「あげる。お大事にね」
そしてまた風のように飛んでいく。
風のやんだ夕闇にはもう誰もいなくて、まるでそこに最初から誰もいなかったように静かだった。
月光に照らしてみると、掌に残ったのはカラフルな包み紙。捻り目を開いてみると中からオレンジ色の飴玉が出てきた。
精霊からお菓子を貰うなんて変な話だ。
俺はそれを口に放り込んで、クスクスと笑った。
End.
「トリック・オア・トリート!」
元気な精霊さん達は思い思いの姿で我が家のドアを開ける。
今年も賑やかなものだ。私はその澄ました様子を微笑ましく思いながらバスケットを差し出した。
――あの子も今頃ならこれくらいかしら。
小さな妖精に面影を重ねながら。もう何年も経ってしまったけれど、あの子のことはこの胸の中にずっと留まっている。
最後の男の子がクッキーを手にとる。深く被ったとんがり帽子の下から可愛い声がした。
「ありがとう、おかあさん」
その笑顔を呆然と見送る。
パタリと静かに閉じる扉。遠ざかっていくはしゃいだ声と、言葉に表わせないざわめき。
――今のは、もしかして…
慌てて押し開けたドアの向こうはいつもの夕闇。
出て行ったばかりの子供達の輪に、魔法使いの姿は見当たらなかった。
元気な精霊さん達は思い思いの姿で我が家のドアを開ける。
今年も賑やかなものだ。私はその澄ました様子を微笑ましく思いながらバスケットを差し出した。
――あの子も今頃ならこれくらいかしら。
小さな妖精に面影を重ねながら。もう何年も経ってしまったけれど、あの子のことはこの胸の中にずっと留まっている。
最後の男の子がクッキーを手にとる。深く被ったとんがり帽子の下から可愛い声がした。
「ありがとう、おかあさん」
その笑顔を呆然と見送る。
パタリと静かに閉じる扉。遠ざかっていくはしゃいだ声と、言葉に表わせないざわめき。
――今のは、もしかして…
慌てて押し開けたドアの向こうはいつもの夕闇。
出て行ったばかりの子供達の輪に、魔法使いの姿は見当たらなかった。
END.
Welcome
冬に包まれる季節。
詳しくはFirstを参照ください。
最新記事
(02/12)
(02/12)
(02/12)
(02/12)
(02/12)
メニュー
初めてのかたはFirstまたは最古記事から。
のうない
最古記事
はじめてのかたは此方から。
最新コメント
メモマークは『お返事有り』を表します。
もくそく