むせ返るような芳香、甘い蜜。蝶のような優雅さで。 そのカラダに鋭い棘を隠して。
はじめに
ようこそ、偽アカシアへ。
こちらは私、朝斗の今までの作品展示室となっております。
過去作品から随時追加予定です。
同じものを掲載していますが、若干の推敲をしている場合もあります。
詳しくは『はじめに』をご一読ください。
2008.5.6 Asato.S
「高橋くんは、そうじゃない…もん…ね…?」
恐る恐る、後者を選択した私。
とっさに間違った、と思った。
しかし瑞希はそれを指摘したりはしない。「だよねぇ」と苦笑しながら相槌を返した。私はほっと息をつく。それから少し笑った。
当たり前だ。このゲームは私が勝手にしていること。間違ったからと言って、瑞希や他の人がそれを分かるはずがない。
だから私も、「でしょ?」と笑い返す。その時、擦れ違いざまに誰かが私に声をかけてきた。
「あ、ねぇねぇ」
階段の途中、歩きながらふと振り返る。
別の学年の女の子だろうか。そこには、顔なじみではない少女がいた。何か落としただろうか、と首を傾げる。
「今――間違ったでしょ?」
爽やかに微笑を浮かべる彼女の、セリフ。
「何…?」
見知らぬ少女は、私を見てニヤリと笑った。
そしてもう一度、背筋の冷たくなるような明るい声で。
「間違えた、でしょう?」
耳を疑った。
何を?
もしかして。まさか。
だってこれは、私ひとりのゲーム。それなのに。
どうして しっているの?
思わず後ろに下がる私の足が、階段を踏み外した。
がくり、と体が傾く。
とっさに手を伸ばすことも忘れて、身の縮まるような寒気が、全身を包んだ。
階段が……
落ちる、と思った。
けれど、それどころじゃなかった。
目に焼きついて離れないのは、少女の微笑み。
そこで意識は遠のいた。
瑞希が私の名前を叫んだ、気がした。
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冬に包まれる季節。
詳しくはFirstを参照ください。
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