『rainfall.』

雨の音がする。


波のように屋根を叩く音。
強く強く、弱く。儚く。
その向こうに悲鳴を聞いた。
ゆらゆらと細波がさらっていく。

悲鳴。
空の悲鳴。
つんざめくような、鋭い囁き。

けれど反対に私の心は澄んでいく。
ゆらゆらと揺られて、まどろんで。


残酷だ、と思う。

冷たさを取り戻して行く自分に、
苛立ちと、安堵を覚える。


ゆらゆら。
夢の狭間で夢を見る。


暗い空。
叫び。
この雨に打たれて、あの人の心は死んだのだろう。




そして私は、夢を見る。

『夢結小唄』

今宵流るは霞か雲か
逸る白羽は桜か雪か
夢の猊　現の瞳
闇に消ゆるは宵烏
 
朝萌ゆるは萼か雨か
蒼き陰りは蔓か空か
虚の足枷　幻の腕
夢見し宴の捨篝
 

* * *

こよいながるは　かすみか くもか
はやるしらはは　さくらか ゆきか
ゆめのかんばせ　うつつのひとみ
やみにきゆるは　よいがらす
 
あしたもゆるは　うてなか あめか
あおきかげりは　かずらか そらか
からのあしかせ　まほろのかいな
ゆめみしうたげの　すてかがり



派生作品：嶋原結遊女語

『a worker bee』

八月で止まったままのカレンダー

忙しい日々に追われ
楽しかったあの時に戻りたい
 
 
窓辺に飾っていたラベンダー

しおれた緑に足りない
潤いの涙　見守る太陽の眼差し
 
 

安らぎは夢の中？