『白昼夢』

泣いている夢を見た
泣きながら目を覚ます
 
夢と知った後も
涙はゆらゆら止まらずに
 
温かいスープも紅茶も
凍えた胸を溶かしてはくれない
 
温かい毛布も言葉も
扉を開ける鍵にはならない
 
壁に留めた絵葉書
輝く月が眩しくて
 
空を流れる風の色
歌えないのは私だけ
 
あさってのその前に
あしたのその先に
 
夢見る羊は空を舞う
花見る獏は夢を食う

『感嘆符』

いくら笑っても
いくら悲しんでも
いくら苦しんでも
いくら喜んでも
決して涙は流さない

この想いを
簡単に流してしまわぬように


嗚呼
溜息をつく新月の闇


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もちろん泣くことも大切だけど、
その感情の余韻も味わいたい。
涙は全て洗い流してしまうから。

『免罪符』

世界中が庇ってくれても
この心は鉛のようで
私が私を許さない

鍵のかからない牢で独り
窓の外の青空を怯える

けれどやっと

「君が悪いんだ」

あなたのその言葉ひとつで
初めて私は救われる