『終止符』

これで終わり
すべて終わり
あれもこれも
なにもかも

だからここで
終わりにしよう

諦めてもいいさ
挫けてもいいさ
満足してもしなくても

これで終わり
すべて終わり
あれもこれも
なにもかも

だからもう
手は離し
目は閉じて


そしてまた始めるんだ
奏でよう
始まりは終わり
終わりは始まり

ここから始める
新たな一音を

『重ね重ねて』

ゆらゆら　揺らぐ夢の憂鬱

うるうる　潤む卯花の後ろで

きらきら　きらめく狭霧の彼方

さわさわ　騒ぐ小夜の細波

さらさら　さらう桜の詩歌

ころころ　転ぶ心の声音

くらくら　眩むくすんだ九月

ふるふる　震える不安が増える

『Amnesia』

崩れて行く世界の中
少女はぼんやりと空を見上げる

あの空はもう治らない
崩れていつか消えるだけ

「この世界はつまらない」

諦めたように呟いて
猫を一匹従えて
大きな荷物を引きずって
まだ見ぬ「外」へ想いを馳せる
 
けれど少女は気付かない
主人を失う世界など
崩れ壊れて消えるだけ
積み上げて来た思い出も
世界とともに消えるだけ
 
鼻歌交じりで家を出る
新たな世界を求める少女
振り返らずに街を出る
振り返ったのは傍らの黒猫
 
そう、彼は気付いていたのだ

そして彼女の去った空の下
青い破片がコロリと落ちた

 

＊amnesia ・・・ 記憶喪失