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むせ返るような芳香、甘い蜜。蝶のような優雅さで。 そのカラダに鋭い棘を隠して。
はじめに

ようこそ、偽アカシアへ。
こちらは私、朝斗の今までの作品展示室となっております。

過去作品から随時追加予定です。
同じものを掲載していますが、若干の推敲をしている場合もあります。
詳しくは『はじめに』をご一読ください。
2008.5.6 Asato.S
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Twitterの呟きを表示させるブログパーツを使用し始めたのも新しい所ですが、
今度はその逆、ブログの記事をついったーに送るサービスを使用開始しました。

折角URL貼り付けてるんだから告知くらいしてみようか、というなんとも貧乏臭い発想でございます。

とはいえ、ここは倉庫ブログなので引き続き更新頻度は高くないと思いますけども。
気が向いた場合にガンガン更新するくらいですが引き続き宜しくお願いいたします。


それにしても、ついったーは140字という文字制限と手軽さでばんばん呟いちゃうなー。
我に返ってあんまりどうでもいいことは削除したりしてます。

あと、ついったーでは140字(厳密には131字)のTwitter小説にもこっそり取り組んでいますので関心があったら覗いてみてください。
目印はハッシュタグ#twnovelです。

それではまた後程!

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 ふたりで手を繋いで歩いていた。
 
 空は眩しいくらいの黄昏。
 細く繋がった二人の影が、長く長く伸びている。
 
 既に彼女は泣いていなかった。
 時々震える華奢な左手を、慰めるようにそっと握り返す。その度に彼女は、わたしの顔を盗み見るように覗き込んだ。
 
「もう大丈夫だよ」
 
 わたしはわたしに言い聞かせるように、精一杯の言葉をか弱い空に吐き出した。
 
「もう、大丈夫だから」
 
「うん」
 
 彼女は頷く。
 紺色のブレザーの裾が、暗闇と交わるようにして夜を呼んでいる。
 何一つ持たないままで、二人だけ。
 家には続いていない道を、静かに静かに辿っていく。
 
 揺れている。
 大地と、私と、彼女の心が。
 
 どうして風はこんなにも冷たいのだろう。
 道の真ん中を伸びていく白線は、何処までも途切れることなく。
 
 少女の身体が、風に揺れて一歩を踏み出した。
 強く手を取って引き止める。その鼻先を灰色の車が通り過ぎていく。
 
「ごめん、ぼうっとしてた」

 少女は哀しげに目を逸らす。
 『本当に?』と聞くのは止めた。
 また謝られるのが怖かったから。
 
「もし飛び出したくなったら言ってね」
 励ますと彼女は笑った。
 冗談だと思っただろうか。わたしは本気なのに。
 
 
 もし飛び出したくなったら言って。
 その時は、わたしも一緒に行ってあげる。
 
 二人で手を繋いで。
 行き止まりまで。
 
 暗い迷路の最後まで。
 
 
 彼女から隠れたその左手に、鋭いものを隠しながら。
 
(願わくば、これを遣う瞬間が永遠に訪れませんように。)
 
End,

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 走り抜けていく先は、出来損ないの闇が反射していた。
 惑わす揺らぎ。濡れた車道の下の深い光。

 一瞬だけ視界を覆った雨粒が跡形なく掻き分けられて行く。対向車線に車の影はない。自分だけが走らされている、行き先不安の道。
 小さな車の中に流れるスローテンポの洋楽。BGM。ステレオのデジタル時計が、深夜10分前を無機質に表示する。

「――事故んねえかな」

 ぽつりと呟いた言葉は願望というより気紛れな期待で。
 始終続くゆるい痛みは、次第に強くなっている気がした。
 
 ――今日、何曜日だっけ。
 休日出勤と不規則な平日休み。明日が休みでないことだけは理解している。
 最近では明後日以降の未来のことを考えようとすると気が遠くなる。慣れたつもりでいたが、何年経ってもこの不安は変わらなくて。
 
「明日は…明日には何を仕上げるんだった?」
 
 辛うじてこなしている日々の『仕事』は綱渡りで、一歩間違えば体勢を立て直すどころか生きていられる気がしない。
 一挙転落。でもそのほうが、いっそラクかもしれない。
 一見真面目なのは退路がないからだ。回り道も逃げ道も見つからないから、じりじりと前に進むだけ。無理矢理にでも歩を進めることしか許されない。たとえ結果が芳しくなくとも。
 だから、違う道さえ見つければこんな荒廃道、悦んで踏み外すのに。
 

 雨が強くなった気がした。ワイパーの速度を一つ上にあげた。
 全てが消えることは望まないから、せめて、先を見るために。
 見えなければそれでもいいや。それもまた、深層的な期待。見えなくなれば…逃れられない不可抗力ならば、止まることも出来るだろう。
 
「もう終わりでいいんだけどな」
 
 ――自分から立ち止まる勇気なんて、持ち合わせていない。
 
 目の前の信号は赤の点滅。右側の交差道からヘッドライトが近付いて来た。濡れた車道の所為で一際目に刺さる眩しさ。
 俺はその光が通り過ぎるのを待ってから、慎重にハンドルを切った。


End.

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冬に包まれる季節。
詳しくはFirstを参照ください。
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