むせ返るような芳香、甘い蜜。蝶のような優雅さで。 そのカラダに鋭い棘を隠して。
はじめに
ようこそ、偽アカシアへ。
こちらは私、朝斗の今までの作品展示室となっております。
過去作品から随時追加予定です。
同じものを掲載していますが、若干の推敲をしている場合もあります。
詳しくは『はじめに』をご一読ください。
2008.5.6 Asato.S
現在本家【空嘘】にてAurora Syndromeシリーズを書いている身としては、そろそろ設定とか今までの流れとかこんがらがってくるレベルだったので、おもむろに新しい目次作ってみました。
しかし、これらの一部は所謂二次(の二次)といいますか、某親愛なる混沌魔王の作品を前提とした作品なので、倉庫にまとめるのはどうなのかしらーと思っていたのです。
つまり、ここの偽アカシア内のみでは完結できない世界観という辺り。
でも、私の言い訳的には前述のとおりです。
思えば、『あさと』と『アサト』の違いなんていつできたんだっけかなーとか、栞さんっていつからいるっけかなーとか、そもそもASシリーズってなんで書いてんの、みたいな、自分でも忘れているようなことが多すぎて多すぎて震えます。
なので今後、『空想物書き』と関わる作品もまとめることにしました。
一作一作自体は特に修正するつもりはありません。(誤字誤表記くらいは直します)
AS終わったら静かにOFFするかもしれません。ぶっちゃけ俺得(読みやすいから)です。
まぁ、なにがなにやらというかたは雰囲気楽しんでくださいまし。
ちなみに主要登場人物ざっくり。
『あさと』=安里=篠宮朝斗≒Auroraのヌシ≠私(つまりはよく推理小説の作家が作中に登場するときのアレみたいな)
『アサト』=鴇田(常田)朝斗=物語の中の存在≒あさとの分身
『栞』=単なる携帯電話の擬人化だったはずなのにいつのまにか追従人型端末に進化したもの
ゲスト
『混沌魔王』=某文論群の主様
『ミルヒアイス』=魔王の部下、アサトの想い人?
あとは適当に適度に、私の過去作の登場人物など。
そんな負けじとカオスな感じなので、本当自分でも混乱します。
しかし、これらの一部は所謂二次(の二次)といいますか、某親愛なる混沌魔王の作品を前提とした作品なので、倉庫にまとめるのはどうなのかしらーと思っていたのです。
つまり、ここの偽アカシア内のみでは完結できない世界観という辺り。
でも、私の言い訳的には前述のとおりです。
思えば、『あさと』と『アサト』の違いなんていつできたんだっけかなーとか、栞さんっていつからいるっけかなーとか、そもそもASシリーズってなんで書いてんの、みたいな、自分でも忘れているようなことが多すぎて多すぎて震えます。
なので今後、『空想物書き』と関わる作品もまとめることにしました。
一作一作自体は特に修正するつもりはありません。(誤字誤表記くらいは直します)
AS終わったら静かにOFFするかもしれません。ぶっちゃけ俺得(読みやすいから)です。
まぁ、なにがなにやらというかたは雰囲気楽しんでくださいまし。
ちなみに主要登場人物ざっくり。
『あさと』=安里=篠宮朝斗≒Auroraのヌシ≠私(つまりはよく推理小説の作家が作中に登場するときのアレみたいな)
『アサト』=鴇田(常田)朝斗=物語の中の存在≒あさとの分身
『栞』=単なる携帯電話の擬人化だったはずなのにいつのまにか追従人型端末に進化したもの
ゲスト
『混沌魔王』=某文論群の主様
『ミルヒアイス』=魔王の部下、アサトの想い人?
あとは適当に適度に、私の過去作の登場人物など。
そんな負けじとカオスな感じなので、本当自分でも混乱します。
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「開演15分前です」
タイムキーパーの青年が自前の電波時計を覗き込みながら告げる。
「04の手配は?」
「未だ整っていません。現地で調達しても良いですが、何せ次の幕は台詞が一層長いので酷かと」
「そう。かくなる上は、私が出るしかないかな」
「朝斗さん…!」
打ち合わせに参加していたひとりの少女が、慌てたように叫ぶ。
朝斗と呼ばれた彼女こそがこの実行犯、否、実演メンバーの筆頭らしい。彼女は肩凝りをほぐすように背筋を伸ばし、動揺する後輩ににこりと微笑んだ。
「成功に犠牲は付き物。けれど、君達を犠牲にしたくないからね。大丈夫、所詮私は現場監督だ。代わりは幾らでも」
それは言い訳でも諦めでも自己暗示でもなく、むしろ表情は楽しんでいるように見えた。
それに本陣には混沌魔王もいるしね、と付け加え、朝斗は笑った。
「でも」
「そんな不安そうな顔しなくてもいい。喩え私が捕まろうと、彼が脚本を書き続ける限りこの劇は終わらない」
ある者は大きなスポーツバッグを抱え、またある者はポケットに朱色の腕章を忍ばせた。そうして各々、次の開演場所を目指して出立していく。
朝斗はまだ表情の曇ったままの少女の肩をぽんと叩いて、励ますように微笑する。
「後は頼んだよ、紫乃」
言葉を残し、可愛い後輩に背を向ける。
紫乃もまた、彼女に応えようと決意を新たにする。深く頷いて、腰のリールに手をかけた。
右手には鉦。これを打ち鳴らし、次に彼らが集まるその時こそが、新たな偏屈王開幕の時となるのだ。
「時間です!」
「では、いこうか」
衣装の裾を翻し、朝斗は光の元へと出て行った。
それはふわりと優雅で、風に遊ぶ花のよう。同時に勇ましく、戦場に向かう戦士のようで。
まるでフランスの聖女を連想させる。
たとえ彼女が率いているのが、いつの間にかどこからか湧いて出た褌集団だとしても。
「さぁ皆々様。偏屈王第四十六幕の開幕と参りましょう」
衣装を身に纏ったプリンセス・ダルマは、言い回しだけでなく声色までが違う。
御都合主義の暗躍する学園祭。
そう、すべては御都合主義の名の元に。
紫乃が彼女の姿を見たのは、それが最後だった。
※輪音さんの『青春闇市』に基づいて作成しました。
架空学園祭の顛末は彗星舎にて。
タイムキーパーの青年が自前の電波時計を覗き込みながら告げる。
「04の手配は?」
「未だ整っていません。現地で調達しても良いですが、何せ次の幕は台詞が一層長いので酷かと」
「そう。かくなる上は、私が出るしかないかな」
「朝斗さん…!」
打ち合わせに参加していたひとりの少女が、慌てたように叫ぶ。
朝斗と呼ばれた彼女こそがこの実行犯、否、実演メンバーの筆頭らしい。彼女は肩凝りをほぐすように背筋を伸ばし、動揺する後輩ににこりと微笑んだ。
「成功に犠牲は付き物。けれど、君達を犠牲にしたくないからね。大丈夫、所詮私は現場監督だ。代わりは幾らでも」
それは言い訳でも諦めでも自己暗示でもなく、むしろ表情は楽しんでいるように見えた。
それに本陣には混沌魔王もいるしね、と付け加え、朝斗は笑った。
「でも」
「そんな不安そうな顔しなくてもいい。喩え私が捕まろうと、彼が脚本を書き続ける限りこの劇は終わらない」
ある者は大きなスポーツバッグを抱え、またある者はポケットに朱色の腕章を忍ばせた。そうして各々、次の開演場所を目指して出立していく。
朝斗はまだ表情の曇ったままの少女の肩をぽんと叩いて、励ますように微笑する。
「後は頼んだよ、紫乃」
言葉を残し、可愛い後輩に背を向ける。
紫乃もまた、彼女に応えようと決意を新たにする。深く頷いて、腰のリールに手をかけた。
右手には鉦。これを打ち鳴らし、次に彼らが集まるその時こそが、新たな偏屈王開幕の時となるのだ。
「時間です!」
「では、いこうか」
衣装の裾を翻し、朝斗は光の元へと出て行った。
それはふわりと優雅で、風に遊ぶ花のよう。同時に勇ましく、戦場に向かう戦士のようで。
まるでフランスの聖女を連想させる。
たとえ彼女が率いているのが、いつの間にかどこからか湧いて出た褌集団だとしても。
「さぁ皆々様。偏屈王第四十六幕の開幕と参りましょう」
衣装を身に纏ったプリンセス・ダルマは、言い回しだけでなく声色までが違う。
御都合主義の暗躍する学園祭。
そう、すべては御都合主義の名の元に。
紫乃が彼女の姿を見たのは、それが最後だった。
了.
終幕へ続く
終幕へ続く
※輪音さんの『青春闇市』に基づいて作成しました。
架空学園祭の顛末は彗星舎にて。
程好く風が吹き程好く空の翳(かげ)る、そんな学園祭日和。
その大学もまた例に漏れず、一刹那の青春叩き売り市場と化していた。
吉田南構内、時計台下の模擬店街から少し離れたその場所に、彼らは身を潜めていた。
ひと気のなさをいいことに、薄暗い校舎最果ての階段を占拠する奇妙な集団。一見、青春を見飽きた一般客か役職無しの学生かといった様相だが、彼らを包む空気はピンと張り、同時にそわそわと浮き足立っていた。
「現状はどうなってる?」
窓際に佇んでいた一人の女が問う。
「被害は最小限に収めたつもりです。しかし……」
「プリンセス・ダルマは捕まったか」
言い淀むのを見て首をすくめる。青年は無念そうに頷いて見せる。その場に集まる幾人もが連鎖するように臍をかむが、女だけはどことなく喜色を浮かべていた。
「流石は混沌魔王、と言うべきだね。次の準備は」
「滞りなく」
ふいに誰かが階段を駆け上がってくる気配がする。ややあって階下から顔を覗かせた少女が、息を整える暇も惜しんで開口した。
「駄目です、プリンセス・ダルマ03待機できません!」
「なんだって?」
唖然騒然とする一同。
少女は辺りを憚るようにひっそりと、追って事を告げる。
「どうやら無理やり口にねじ込まれた『万福緋鯉饅頭』なるもののせいでトイレとお友達のようで」
そう囁かれて女は再び傍らの青年を振り返る。
今度は間髪入れず上階からの者が階段を降りてやってくる。
「報告、偏屈王より脚本入手! 次の開演地はグラウンド!」
青年が手にするのは束ねられた紙片。その四重数枚に渡る紙切れはただの紙切れではなく、この学園祭を揺るがせている要因のひとつだった。
一枚目の一番端に、控えめに書き添えられたその言葉。
『偏屈王』。
そう、この場に集まった彼らこそが、学園祭事務局及びその美貌の事務局長を悩ませるゲリラ劇『偏屈王』の面々なのである。
その大学もまた例に漏れず、一刹那の青春叩き売り市場と化していた。
吉田南構内、時計台下の模擬店街から少し離れたその場所に、彼らは身を潜めていた。
ひと気のなさをいいことに、薄暗い校舎最果ての階段を占拠する奇妙な集団。一見、青春を見飽きた一般客か役職無しの学生かといった様相だが、彼らを包む空気はピンと張り、同時にそわそわと浮き足立っていた。
「現状はどうなってる?」
窓際に佇んでいた一人の女が問う。
「被害は最小限に収めたつもりです。しかし……」
「プリンセス・ダルマは捕まったか」
言い淀むのを見て首をすくめる。青年は無念そうに頷いて見せる。その場に集まる幾人もが連鎖するように臍をかむが、女だけはどことなく喜色を浮かべていた。
「流石は混沌魔王、と言うべきだね。次の準備は」
「滞りなく」
ふいに誰かが階段を駆け上がってくる気配がする。ややあって階下から顔を覗かせた少女が、息を整える暇も惜しんで開口した。
「駄目です、プリンセス・ダルマ03待機できません!」
「なんだって?」
唖然騒然とする一同。
少女は辺りを憚るようにひっそりと、追って事を告げる。
「どうやら無理やり口にねじ込まれた『万福緋鯉饅頭』なるもののせいでトイレとお友達のようで」
そう囁かれて女は再び傍らの青年を振り返る。
今度は間髪入れず上階からの者が階段を降りてやってくる。
「報告、偏屈王より脚本入手! 次の開演地はグラウンド!」
青年が手にするのは束ねられた紙片。その四重数枚に渡る紙切れはただの紙切れではなく、この学園祭を揺るがせている要因のひとつだった。
一枚目の一番端に、控えめに書き添えられたその言葉。
『偏屈王』。
そう、この場に集まった彼らこそが、学園祭事務局及びその美貌の事務局長を悩ませるゲリラ劇『偏屈王』の面々なのである。
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冬に包まれる季節。
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