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  <title>　偽 ア カ シ ア　</title>
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  <description>むせ返るような芳香、甘い蜜。蝶のような優雅さで。　そのカラダに鋭い棘を隠して。</description>
  <lastBuildDate>Sun, 12 Feb 2012 13:47:26 GMT</lastBuildDate>
  <language>ja</language>
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    <item>
    <title>【雑記】空想物書きとはダレか？</title>
    <description>
    <![CDATA[現在本家【空嘘】にてAurora Syndromeシリーズを書いている身としては、そろそろ設定とか今までの流れとかこんがらがってくるレベルだったので、おもむろに新しい目次作ってみました。<br />
<br />
しかし、これらの一部は所謂二次（の二次）といいますか、某親愛なる混沌魔王の作品を前提とした作品なので、倉庫にまとめるのはどうなのかしらーと思っていたのです。<br />
つまり、ここの偽アカシア内のみでは完結できない世界観という辺り。<br />
<br />
でも、私の言い訳的には前述のとおりです。<br />
<br />
思えば、『あさと』と『アサト』の違いなんていつできたんだっけかなーとか、栞さんっていつからいるっけかなーとか、そもそもASシリーズってなんで書いてんの、みたいな、自分でも忘れているようなことが多すぎて多すぎて震えます。<br />
<br />
なので今後、『空想物書き』と関わる作品もまとめることにしました。<br />
一作一作自体は特に修正するつもりはありません。（誤字誤表記くらいは直します）<br />
AS終わったら静かにOFFするかもしれません。ぶっちゃけ俺得（読みやすいから）です。<br />
まぁ、なにがなにやらというかたは雰囲気楽しんでくださいまし。<br />
<br />
ちなみに主要登場人物ざっくり。<br />
『あさと』＝安里＝篠宮朝斗≒Auroraのヌシ&ne;私(つまりはよく推理小説の作家が作中に登場するときのアレみたいな)<br />
『アサト』＝鴇田（常田）朝斗＝物語の中の存在≒あさとの分身<br />
『栞』＝単なる携帯電話の擬人化だったはずなのにいつのまにか追従人型端末に進化したもの<br />
<br />
ゲスト<br />
『混沌魔王』＝某文論群の主様<br />
『ミルヒアイス』＝魔王の部下、アサトの想い人？<br />
<br />
あとは適当に適度に、私の過去作の登場人物など。<br />
<br />
そんな負けじとカオスな感じなので、本当自分でも混乱します。]]>
    </description>
    <category>雑記</category>
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    <pubDate>Sun, 12 Feb 2012 13:47:26 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>＊幕間～向かひて白秋の栄華 ２</title>
    <description>
    <![CDATA[「開演15分前です」<br />
　タイムキーパーの青年が自前の電波時計を覗き込みながら告げる。<br />
<br />
「04の手配は？」<br />
<br />
「未だ整っていません。現地で調達しても良いですが、何せ次の幕は台詞が一層長いので酷かと」<br />
<br />
「そう。かくなる上は、私が出るしかないかな」<br />
<br />
「朝斗さん&hellip;！」<br />
<br />
　打ち合わせに参加していたひとりの少女が、慌てたように叫ぶ。<br />
　朝斗と呼ばれた彼女こそがこの実行犯、否、実演メンバーの筆頭らしい。彼女は肩凝りをほぐすように背筋を伸ばし、動揺する後輩ににこりと微笑んだ。<br />
<br />
「成功に犠牲は付き物。けれど、君達を犠牲にしたくないからね。大丈夫、所詮私は現場監督だ。代わりは幾らでも」<br />
<br />
　それは言い訳でも諦めでも自己暗示でもなく、むしろ表情は楽しんでいるように見えた。<br />
　それに本陣には混沌魔王もいるしね、と付け加え、朝斗は笑った。<br />
<br />
「でも」<br />
<br />
「そんな不安そうな顔しなくてもいい。喩え私が捕まろうと、彼が脚本を書き続ける限りこの劇は終わらない」<br />
<br />
　ある者は大きなスポーツバッグを抱え、またある者はポケットに朱色の腕章を忍ばせた。そうして各々、次の開演場所を目指して出立していく。<br />
　朝斗はまだ表情の曇ったままの少女の肩をぽんと叩いて、励ますように微笑する。<br />
<br />
「後は頼んだよ、紫乃」<br />
<br />
　言葉を残し、可愛い後輩に背を向ける。<br />
　紫乃もまた、彼女に応えようと決意を新たにする。深く頷いて、腰のリールに手をかけた。<br />
　右手には鉦。これを打ち鳴らし、次に彼らが集まるその時こそが、新たな偏屈王開幕の時となるのだ。<br />
<br />
「時間です！」<br />
<br />
「では、いこうか」<br />
<br />
　衣装の裾を翻し、朝斗は光の元へと出て行った。<br />
　それはふわりと優雅で、風に遊ぶ花のよう。同時に勇ましく、戦場に向かう戦士のようで。<br />
　まるでフランスの聖女を連想させる。<br />
　たとえ彼女が率いているのが、いつの間にかどこからか湧いて出た褌集団だとしても。<br />
<br />
<br />
「さぁ皆々様。偏屈王第四十六幕の開幕と参りましょう」<br />
<br />
　衣装を身に纏ったプリンセス・ダルマは、言い回しだけでなく声色までが違う。<br />
<br />
<br />
　御都合主義の暗躍する学園祭。<br />
　そう、すべては御都合主義の名の元に。<br />
<br />
　紫乃が彼女の姿を見たのは、それが最後だった。<br />
<br />
<br />
<div align="right">
	<b>了．</b><br />
	終幕へ続く</div>
<br />
<font size="1">※輪音さんの『青春闇市』に基づいて作成しました。<br />
架空学園祭の顛末は彗星舎にて。</font>]]>
    </description>
    <category>　短編</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E3%80%80%E7%9F%AD%E7%B7%A8/%EF%BC%8A%E5%B9%95%E9%96%93%EF%BD%9E%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%B2%E3%81%A6%E7%99%BD%E7%A7%8B%E3%81%AE%E6%A0%84%E8%8F%AF%20%EF%BC%92</link>
    <pubDate>Sun, 12 Feb 2012 13:27:33 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>＊幕間～向かひて白秋の栄華 １</title>
    <description>
    <![CDATA[　程好く風が吹き程好く空の翳<font size="1">(かげ)</font>る、そんな学園祭日和。<br />
　その大学もまた例に漏れず、一刹那の青春叩き売り市場と化していた。<br />
<br />
　吉田南構内、時計台下の模擬店街から少し離れたその場所に、彼らは身を潜めていた。<br />
　ひと気のなさをいいことに、薄暗い校舎最果ての階段を占拠する奇妙な集団。一見、青春を見飽きた一般客か役職無しの学生かといった様相だが、彼らを包む空気はピンと張り、同時にそわそわと浮き足立っていた。<br />
<br />
「現状はどうなってる？」<br />
　窓際に佇んでいた一人の女が問う。<br />
<br />
「被害は最小限に収めたつもりです。しかし&hellip;&hellip;」<br />
<br />
「プリンセス・ダルマは捕まったか」<br />
<br />
　言い淀むのを見て首をすくめる。青年は無念そうに頷いて見せる。その場に集まる幾人もが連鎖するように臍をかむが、女だけはどことなく喜色を浮かべていた。<br />
<br />
「流石は混沌魔王、と言うべきだね。次の準備は」<br />
<br />
「滞りなく」<br />
<br />
　ふいに誰かが階段を駆け上がってくる気配がする。ややあって階下から顔を覗かせた少女が、息を整える暇も惜しんで開口した。<br />
<br />
「駄目です、プリンセス・ダルマ03待機できません！」<br />
<br />
「なんだって？」<br />
<br />
　唖然騒然とする一同。<br />
　少女は辺りを憚るようにひっそりと、追って事を告げる。<br />
<br />
「どうやら無理やり口にねじ込まれた『万福緋鯉饅頭』なるもののせいでトイレとお友達のようで」<br />
<br />
　そう囁かれて女は再び傍らの青年を振り返る。<br />
　今度は間髪入れず上階からの者が階段を降りてやってくる。<br />
<br />
「報告、偏屈王より脚本入手！　次の開演地はグラウンド！」<br />
<br />
　青年が手にするのは束ねられた紙片。その四重数枚に渡る紙切れはただの紙切れではなく、この学園祭を揺るがせている要因のひとつだった。<br />
<br />
　一枚目の一番端に、控えめに書き添えられたその言葉。<br />
　『偏屈王』。<br />
　そう、この場に集まった彼らこそが、学園祭事務局及びその美貌の事務局長を悩ませるゲリラ劇『偏屈王』の面々なのである。<br />
<br />
<br />
<div align="right">
	<a href="http://locusttree.blog.shinobi.jp/Entry/259/">次</a></div>
]]>
    </description>
    <category>　短編</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E3%80%80%E7%9F%AD%E7%B7%A8/%EF%BC%8A%E5%B9%95%E9%96%93%EF%BD%9E%E5%90%91%E3%81%8B%E3%81%B2%E3%81%A6%E7%99%BD%E7%A7%8B%E3%81%AE%E6%A0%84%E8%8F%AF%20%EF%BC%91</link>
    <pubDate>Sun, 12 Feb 2012 13:26:33 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>＊終幕 ～兵どもは夢の中</title>
    <description>
    <![CDATA[　紫乃が彼女の姿を見たのは、それが最後だった。<br />
　戦の中で無事な姿を見たのは。<br />
　勇ましく戦に向かう後ろ姿を見たのは。<br />
<br />
<br />
　そして今、二人は仲良く模擬店街を歩いている。<br />
<br />
　学園祭最終日。終焉と共に押し寄せるもの言えぬ寂しさは少しずつ夢の出口へと彼らを導いてゆく。撤収作業の進む構内ではぽつぽつと飛び石のように裸電球が光る。<br />
　現実が還る時も、また近いのだ。<br />
<br />
「本当にもう。私がどれだけ心配したか」<br />
<br />
　紫乃はあからさまな溜め息を洩らし抗議した。一方の朝斗はニヤニヤ笑いを浮かべるばかり。<br />
<br />
「ごめんごめん」<br />
<br />
「無事に終幕を迎えられたから良いものの、まさか囮になって挙句捕まるなんて」<br />
<br />
　並んで歩く二人は既に劇団員としての装いを解いている。朝斗はとうに主演女優の衣装を脱いでしまっているし、後輩の紫乃もまた、常備していたリールも鉦も身につけていなかった。<br />
<br />
「確かに、捕まっちゃったのは計算外だったけどさ。そういえば、あの人無事かなぁ」<br />
<br />
「あの人って誰です？」<br />
<br />
「本部で私を助けてくれた&hellip;&hellip;あー、『謎の通行人』だよ」<br />
　朝斗は何故か、言葉を濁してくすくすと笑った。<br />
<br />
<br />
　それにしても凄まじい学園祭だった。<br />
　全体が押し売り叩き売り的青春闇市であるのは勿論のこと、チープさを売りにする露店に混じってちらほらと窺える本格的な催しもの。特にグラウンドで終始行われていたワルシャワ・フィルハーモニーをバックに歌い踊る二人の女性のコンサートは圧巻だった。<br />
<br />
　治安維持に奔走する学園祭事務局はどこから呼んだのか鎧武者を従えていた。かく言う『偏屈王』メンバーも、出演演出の劇團構成員の他に鎧武者に対抗する覆面褌姿の軍勢がついていて。<br />
　一介の裏方でしかない紫乃には彼らが何者なのか知り得なかったが、手裏剣や鎖鎌、ヌンチャクにメリケンサックまでを駆使した攻防はまさに戦国時代の戦かといった迫力だった。<br />
　そういえば、事務局側の陣営にメイドさんが混じっていたような気がしたのだが、あれはなんだったのだろう。<br />
<br />
<br />
「でも助けてくれた親切な方がいたとしても、よく無事でしたね」<br />
<br />
　尋ねると、朝斗は何事もないようにけろっとしていた。<br />
<br />
「ああ、だってそれは混沌魔王だから」<br />
<br />
　頬を膨らましてみるものの、彼女は確かな理由を言おうとしない。<br />
<br />
「納得いきません」<br />
<br />
「全ては彼女の掌の上」<br />
<br />
　何もかもを覆い隠す呪文のようにそのフレーズを唱える。それにしても、朝斗から幾度となく聞く『混沌魔王』とは一体何者なのだろう。実はこの学園祭、裏で糸を引いていたのがその『魔王』だという噂まであった。<br />
　しかしゲリラ劇のクライマックス、あの乱世の戦が展開された最後の時間。敵側の頭にいた赤い鎧の人物は、遠目に見た限り物腰の優雅そうな女性だったのだ。<br />
<br />
　紫乃が思考に沈んでいると、朝斗はさらりと付け加えた。<br />
<br />
<br />
「それに、首だけは繋げたままにするって約束したし」<br />
<br />
「それって&hellip;&hellip;」<br />
<br />
　思わず言葉を失う。<br />
　耳に入った声音に血生臭いものは窺えないのに、脳に届いた言葉はまるで悪い冗談のように食い違っていた。<br />
　混沌魔王、本当に何者&hellip;？そしてそんな彼女と交流のある目の前の先輩も&hellip;いや、それは、もう考えたくない。<br />
　全てはこの、目まぐるしくも愛おしい学園祭で起こった出来事なのだ。<br />
<br />
　誤魔化すように首を振ると、ふいに朝斗が顔を輝かせた。<br />
<br />
<br />
「あ、見て。林檎飴だ」<br />
<br />
　深まる夜の帳、撤収の進む中でもいくつかの露店はまだ開いている。彼らもまた名残惜しいのか、僅かばかり残った夢のかけらを最後の力を振り絞って売り捌いているのだろう。<br />
<br />
「折角だから買おうよ。『偏屈王』は終幕を迎えたけど、学園祭はまだ続くんだから」<br />
<br />
　そう言って、ぱたぱたとはしゃいで先を行ってしまう。朝斗さん、と声をかけると気がついて、はやくおいでと手招きした。そしてまた待ちきれないように足早に魅惑の紅玉石の元へ寄って行く。<br />
　やはり口から洩れるのは柔らかい溜め息で。<br />
<br />
「仕方ないなぁ&hellip;じゃあ、もう少しだけ付き合ってあげますよ」<br />
<br />
<br />
　不意に思いついてジーンズのポケットを探る。そこにはまだ、彼女達が自らの証とした深紅の腕章が眠っていた。<br />
　紫乃はそれを確かめると、少し安堵したように微笑んで朝斗の背中を追った。<br />
<br />
<br />
<div align="right">
	<b>了．</b></div>
<br />
<br />
<font size="1">※輪音さんの『青春闇市』に基づいて作成しました。<br />
架空学園祭の顛末は彗星舎にて。</font>]]>
    </description>
    <category>　短編</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E3%80%80%E7%9F%AD%E7%B7%A8/%EF%BC%8A%E7%B5%82%E5%B9%95%20%EF%BD%9E%E5%85%B5%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AF%E5%A4%A2%E3%81%AE%E4%B8%AD</link>
    <pubDate>Sun, 12 Feb 2012 13:24:45 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>＊花電車にて</title>
    <description>
    <![CDATA[　北欧様式の円卓を囲んだ賑やかな宴。<br />
　その片隅でグラスを傾けながら朝斗が言った。<br />
<br />
「実はこの偽電気ブラン、とある場所で狸一族が造っているんですよ」<br />
<br />
「えええ、まさか」<br />
<br />
「まさかのまさかなんです」<br />
<br />
<br />
　異国情緒溢れるペルシャ絨毯の、その上に敷き詰められた沢山の円卓とソファ。古今東西集まった人々を照らすシャンデリア。<br />
　猫の楽団の演奏をバック・ミュージックに彼女はかすかに口元を綻ばせる。<br />
<br />
<br />
「時は遡ること大正時代、京都中央電話局職員の甘井氏が偶然に発明したのがこのお酒。現在は夷川という狸の一族が醸造し、それを強みに狸界で幅を利かせているというわけです」<br />
<br />
<br />
　まるでジャズの演奏にあわせるように、歌うように言葉を紡ぐ。傍らに居た女性が興味津々で尋ねた。偶然席を同じくした面々も、つられて首を傾げる。<br />
<br />
「たぬき、って、狸ってあの可愛らしい四肢でお酒を醸成しているのですか」<br />
<br />
「ちゃんと工場があるんですよ。狸といえども化ける術を憶えた狸たちですから。そこでせっせと甘美なお酒を作っているのです」<br />
<br />
「化ける？　狸界？」<br />
　今度は向かいの男性が身を乗り出しながら。<br />
<br />
「そうです。化けるし、狸界があるんです」<br />
<br />
「僕も長いこと生きてきたけれど、化ける狸には未だかつてお目にかかったことはないなぁ」<br />
<br />
「私もよ」<br />
<br />
「ええ、実は私もまだ見たことはないんです」<br />
<br />
「え？　朝斗さんも無いんですか？」<br />
<br />
「はい、残念ながら」<br />
<br />
<br />
　目を白黒させる聴衆を尻目に、ついと澄ました顔で最後の一口を飲み干す。間髪入れず通りかかったメイドが新たな偽電気ブランを注いで去っていった。<br />
　そのうちに同席した一人の女性が、ふいに顔を明るくして手を叩いた。<br />
<br />
<br />
「嗚呼わかった、冗談なのですね」<br />
<br />
「そうか、いつもの幻想的物語ですね」<br />
<br />
「これはこれは、あやうく口車に乗せられるとこだった」<br />
<br />
「ふふふ」<br />
<br />
　口々に、なんだなんだと胸を撫で下ろす人々。宴の席には相応しいお話ですねと微笑う女性の傍らで、その空想物書きは意味深に笑ったのだった。<br />
<br />
<br />
<div align="right">
	<b>宴は続く</b></div>
<br />
<font size="1">※輪音さんの『夜歩く』にトラックバック。<br />
宴の様子は是非彗星舎にて。<br />
『偽電気ブラン』については森見登美彦著『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』を参照されたし。</font>]]>
    </description>
    <category>　短編</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E3%80%80%E7%9F%AD%E7%B7%A8/%EF%BC%8A%E8%8A%B1%E9%9B%BB%E8%BB%8A%E3%81%AB%E3%81%A6</link>
    <pubDate>Sun, 12 Feb 2012 13:20:28 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【雑記】一年以上ぶりの倉庫更新。</title>
    <description>
    <![CDATA[お久しぶりなのです。<br />
<br />
決して忘れていたわけではないのですが、今度今度と伸ばすうちにこんなに経過していました。<br />
やっぱり本家を引越した今、自分の作品を保管しておくのは重要だなと思うのです。<br />
<br />
なので、本日は未投稿(保管)のものを確認、とりあえず初期型あざみ堂のお話を追加しておきました。<br />
懐かしいですね。現在書いている薊堂のプロトタイプ。翠仙ちゃんの立ち位置(と性格)があれで、常葉の性格、というか趣味がまだましだった頃です。<br />
<br />
気付けば本編の翠仙ちゃんは子供を自覚した大人びた少女に、常葉は家事好きの青年に&hellip;&hellip;<br />
ちなみに彼らの話は私の中では完結していないので、いつかまた違う話を描ければなと考えている所です。<br />
<br />
<br />
加えて、アリスシリーズですが、本編『小さな鍵と記憶の言葉』の連載保管が途中でしたが、完成後前述のノベリストの方に加筆修正版を投下済ですので、そちらのページに誘導という形をとりました。<br />
それに合わせて今までの中途半端な連載分も削除。<br />
もし万一、加筆修正版と初版を読み比べたい場合は保管庫そらごととＡｕｒｏｒａのほうをご覧ください。<br />
<br />
さて、今後も保管庫のリンクがあれなので、早いうちに作品を引っ張ってこようと、目下努力中です。<br />
勿論すべてを倉庫入りさせるわけではないのですが。<br />
<br />
あ、でも混沌としてきた朝斗(安里)と栞周辺の話は、そう遠くない未来に専用まとめを作りたいですね。]]>
    </description>
    <category>雑記</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E9%9B%91%E8%A8%98/%E3%80%90%E9%9B%91%E8%A8%98%E3%80%91%E4%B8%80%E5%B9%B4%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%81%B6%E3%82%8A%E3%81%AE%E5%80%89%E5%BA%AB%E6%9B%B4%E6%96%B0%E3%80%82</link>
    <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 14:38:24 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>【Story Index　“Sight”】</title>
    <description>
    <![CDATA[カテゴリー《Story》内にある短～中編の目次番外編になります。<br />
安里とアサトと程良く魔王。あと栞。随時追加予定。<br />
<u>１話目にオンマウスで説明が出ます。</u><br />
<br />
<div style="text-align: center;">
	<strong>　　&uarr;Old New&darr;　</strong>*<font size="1">印は本家未公開作品。</font><br />
	&nbsp; <strong><font size="4">Sight　</font><font size="3">憧憬と空想物書きの物語</font></strong></div>
<div style="text-align: right;">
	<a href="http://locusttree.blog.shinobi.jp/Entry/144/">&rarr;&ldquo;Light&rdquo;</a>　&rdquo;Nigｈｔ&rdquo;</div>
<div>
	<br />
	<br />
	　花電車にて<br />
	　　<a href="http://locusttree.blog.shinobi.jp/Entry/256/">■</a><br />
	　　迎えに来たのは花電車。混沌式擬似宴会開催。<br />
	<br />
	　終幕 ～兵どもは夢の中<br />
	　　<a href="http://locusttree.blog.shinobi.jp/Entry/257/">■</a><br />
	　幕間 ～向かひて白秋の栄華<br />
	　　<a href="http://locusttree.blog.shinobi.jp/Entry/258/">１</a>　<a href="http://locusttree.blog.shinobi.jp/Entry/259/">２</a><br />
	　　戦は広きキャンパスの中。混沌式学園祭開催。　<br />
	<br />
	　花緑青の想ひ<br />
	　　■<br />
	　　乙女の集う園に影法師。混沌櫻花祭開催。<br />
	<br />
	　混沌印は乙女キッスＶ<br />
	　　前　後<br />
	　　苦労性の探偵と、混沌式美人戦士。<br />
	<br />
	　湖面漂う水草のように<br />
	　　上　中　下<br />
	　　華やぐ水底に熱帯魚。混沌式古本市開催。<br />
	<br />
	　空想物書きの構想<br />
	　　序　１　２　３　４　５　６　７　終 // 鍵<br />
	　　彼女にとっては悪夢のようで、彼女にとっては夢のよう。<br />
	　　四周年の足跡。<br />
	<br />
	　永遠のせつな　起　承　鋪　叙　結<br />
	　後書：永遠の刹那<br />
	<br />
	　ある安里嬢の倦怠的な一日　前　後<br />
	　番外：ある携帯電話の変則的な一日　◆<br />
	<br />
	　青時雨　前　後<br />
	<br />
	　白雨の夜と　迷　寧<br />
	&nbsp;</div>
<div style="text-align: right;">
	<br />
	私はあなたになれるけど、<br />
	<br />
	貴方はわたしにはなれない。</div>
]]>
    </description>
    <category>作品目次</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E4%BD%9C%E5%93%81%E7%9B%AE%E6%AC%A1/%E3%80%90story%20index%E3%80%80%E2%80%9Csight%E2%80%9D%E3%80%91</link>
    <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 10:43:17 GMT</pubDate>
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  </item>
    <item>
    <title>あやかしごと承ります　５(終)</title>
    <description>
    <![CDATA[　それから数刻の後、祠を片付けて二人は夏端家邸宅へと向かった。<br />
　屋敷に蔓延していた眷属も平和的且つ合法的にお帰り頂いた。御神体、『刀』の切れ端は新しく布を丁寧に巻き直し、翠仙がしたためた符札と共に祠に納めた。<br />
　奉るということは、こういうことである。<br />
<br />
　手際良く全てを終わらせた二人を、感心と猜疑が混じった目で見つめる。<br />
　けれど夏端家の者達は、確かに家の中が清められた気配を感じていた。足音も障子の影も、異形の列が跋扈する夢さえももう見ることはないのだと、漠然と理解していた。<br />
<br />
「以上で、私共の仕事は終わりです。あとは何年かに一度、あの祠の手入れを怠らなければ悪いことは起こらないでしょう」<br />
　厳粛に、常葉は頭を下げた。その後ろには相変わらず影に隠れるように少女が潜んでいたが、夏端はもう何も奇妙に思うことはなかった。そろそろ飽き始めているらしい横顔も、今では神々しく、また微笑ましく見える。<br />
<br />
「ありがとうございました」<br />
<br />
　頭を垂れる。瞳を潤ませながら感謝の意を唱える母と妻の姿に、夏端はこの上ない幸福と安堵を憶えた。<br />
　こんなにも早く解放されるなら、何故もっと早く彼らを頼らなかったのか。否、今となっては変わらぬ話だ。ただ我が家に戻ってきた平穏を噛み締めながら、その真っ白な後姿を見送った。<br />
<br />
&nbsp;<br />
　彼が再び薊堂を訪れたのは、二人が夏端家を治めた一週間後のことである。<br />
「お陰様で妙な事も起こらなくなりました。祠も毎年掃除をするように取り決めました」<br />
　前と同じように二階の洋室に通され、よく冷えた麦茶を勧められながら礼を述べる。少女は眠りこそしていなかったが、やはり長いソファの上で寝そべっていた。<br />
「お役に立てたようで何よりです」<br />
　常葉が心から喜ばしげに微笑む。値段があまりに良心的だったため少々不安に思っていたが、どうやら正しいらしい。夏端は思い出したように、携えてきた袋を常葉に差し出した。<br />
<br />
「そうだ、これ」<br />
　テーブルの上に揚げられた白い紙袋。常葉は一瞬だけ怪訝な顔をして、勧められるままにそれを受け取る。取り出してみると、更に紙で包まれた箱が入っていた。<br />
<br />
「あの、この油揚げをお嬢ちゃんに」<br />
　その言葉に、常葉が驚嘆の表情を浮かべる。<br />
「戴いても宜しいんですか」<br />
「ええ。ウチは代々にがり屋なもので」<br />
<br />
　言い訳染みた言葉ではあったが、夏端の家が豆富屋であることは事実だった。それにやはり、狐には油揚げが良いと考えたのだ。ちらりと青年の後ろに目をやると、少女もまた首をもたげてこちらを見ていた。<br />
　それから幾度と礼を述べる常葉に暇を告げ、夏端は薊堂を後にした。<br />
<br />
「またお困りのことがあれば、どうぞ薊堂へ」<br />
　深く下げられた頭に会釈を返す。きっとここに来ることはもうないのだろう。そう思うと嬉しくもあり、少し淋しくもあった。<br />
&nbsp;<br />
&nbsp;<br />
<br />
　夏端が扉を出て行ったのを見送って、常葉はソファの上の少女を振り返った。<br />
「翠仙、油揚げを貰ったよ。どうしようか」<br />
　何やらそわそわと落ち着きを欠いた動向。いつもより喜色の強い微笑みに翠仙は溜め息を吐く。<br />
「どうしようも何も」<br />
　暫く不満げにその様子を見ていたが、やがて目を逸らして呆れた顔。それから面倒臭そうに彼の名前を呼んだ。<br />
<br />
「&hellip;常葉」<br />
「なにかな？」<br />
「しっぽ出てる」<br />
<br />
　うきうきとした言葉を断ち切るように。常葉はとっさに自らの尻を隠す仕草をして、まるで犬が自分のそれを追いかけるようにくるりと体を回した。<br />
「嘘よ。冗談」<br />
　視界の端でそれを追いながら、翠仙は益々呆れたように肘掛に頬杖をついた。<br />
&nbsp;<br />
<br />
　時刻は丁度お八つ時。<br />
　結局、煮浸しにした油揚げを全部常葉にやって、少女は静かに麦茶で喉を潤していた。<br />
　こうも至福そうに食べる姿を見ると、油揚げはそんなにまで美味しいものだったかと錯覚する。<br />
「ほんとに&hellip;人間の真似、上手いよねぇ」<br />
　滅多に座らない執務机に向かい、薊堂の主人・浅見翠仙は感心したように言葉を洩らした。<br />
　それに何を思ったか、常葉は得意げに胸を張る。<br />
<br />
「まぁまぁ。それもこれも妖のなせる業だよ」<br />
<br />
　そう言って悪戯っぽく片目を瞑ってみせるが、嬉しそうに油揚げを頬張る後では到底格好もつかないと、少女は重ねて思うのだった。<br />
<div align="right">
	<b><font style="color: rgb(201, 23, 30);">完．</font></b></div>
]]>
    </description>
    <category>　短編</category>
    <link>http://locusttree.blog.shinobi.jp/%E3%80%80%E7%9F%AD%E7%B7%A8/%E3%81%82%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%94%E3%81%A8%E6%89%BF%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%80%EF%BC%95-%E7%B5%82-</link>
    <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 10:22:24 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>あやかしごと承ります　４</title>
    <description>
    <![CDATA[「これが祠かぁ」<br />
<br />
　話に聞いた、何を奉っているとも知れない小さな祠。けれどそれがただの飾りでないことは、張り巡らされた注連縄と頑丈な石の造りから見て取れる。<br />
<br />
「御狐様ではないみたいだけど」<br />
　翠仙は四方八方から遠慮なしに祠を眺めた。歪んだ気は確かに感じるが、ここに来る間に随分薄れてしまったので正体がよく判らない。立ったりしゃがんだりと、奇妙な所がないかと探し回る。時折手を伸ばしながら。<br />
「あれ。なんだろ」<br />
　祠の厨子が開いて中が見える。その中には傷付き風雨に汚れた御神体が転がっていた。<br />
　文字通り転がっているのだ。ボロボロの布に包まれた何かが正しい場所に納まるでもなく、扉の内側に倒れ込んでいる。翠仙はそれを拾い上げようとして、何かを察して指先を宙で止める。<br />
<br />
「翠仙！」<br />
　傾斜を見下ろすと、数メートル下に常葉の姿があった。足場の悪い道をそろりそろりと登ってくる。<br />
「あら、貴方まで来たの？　別にいいのに」<br />
　翠仙は林檎飴のついていた割り箸を袋に仕舞うと、スカートのポケットに押し込んだ。常葉の到着を待たずに何かを唱える。<br />
<br />
　時の流れのような、滾々<font style="font-size: xx-small;">(こんこん)</font>と湧きいずる言葉の鎖。それは祝詞のようでも真言のようでもあった。<br />
　そして鎖の終わりにはっきりと、喉の奥から言葉を発する。<br />
「臨兵闘者皆陣列在前」<br />
　両の手で結ぶのは九文字の印。曰く、『兵に臨みて闘ふ者は皆陣列の前に在り』と。いかなる敵でさえ恐れるに足りないのだと、つまりは挑発だった。<br />
　最後の一文字を結び終わるか終わらないかのうちに、彼女の体を突風が包む。<br />
　風の源は、厨子の中だった。風と共に声が鳴る。<br />
<br />
『知った口を聞くな、小娘』<br />
<br />
　腹の底、脳の奥に直接響くような『声』。男とも女とも、子供とも老人ともつかぬ、それでいて憤りの感情だけは籠った声だった。<br />
　それでも少女が怯む筈は無く。<br />
<br />
「小娘じゃないわ。翠仙よ」<br />
<br />
　むしろ堂々と祠の主を見上げる。また別の風が、翠仙を守るように包み込む。<br />
　ふいに声の調子が変わった。<br />
『おや&hellip;その気配、人の姿はしているが人ではないな』<br />
　ちょっと興が削がれたような顔つきの翠仙と、その傍らに静かに佇む常葉を見て、声の主が嗤う。<br />
　そして何かを透かし見るように、<br />
『承知、承知。人間の側に寝返った狐が居ると聞いたことがあるぞ』<br />
　暗闇とも陽炎とも判らない、網膜に映りこまないその何か。けれど翠仙の瞳は真っ直ぐに声の主を見据えていた。彼女には『見えて』いるのだ。<br />
「寝返ったわけじゃないわよ。元々はヒトも妖怪も、助け合って生きてきたでしょう」<br />
　誰かの真似をして、つまらなそうに肩をすくめる仕草をする。それから、にやりと表情を改めて傍らの青年に視線をやる。<br />
「――なんて。そんなこと、どうでもいいんだけどね。ねぇ、常葉？」<br />
「そうだね。僕も翠仙も、自分の居たい場所に居るのだから何も問題はない」<br />
　少女に応えるように青年もくすりと微笑する。<br />
　その言葉に益々気を良くしたのか、翠仙はにいっと笑った。<br />
<br />
「それこそ、誰かにとやかく言われる必要もね」<br />
<br />
　日の光の下だというのに、少女の眼光が鋭く色付いたように見えた。<br />
<br />
<div style="text-align: right;">
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    </description>
    <category>　短編</category>
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    <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 10:20:40 GMT</pubDate>
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    <item>
    <title>あやかしごと承ります　３</title>
    <description>
    <![CDATA[　約束通り、薊堂の面々が夏端家を訪れたのは翌日の昼過ぎのことだった。<br />
　夏を呼ぶ強い日差しの下、家に住まう親族を揃えて彼らを迎えた。<br />
　夏端家は都会と山麓の混じり合う町の&hellip;いや、人間が自然を侵食し果てた境目に位置していた。薊堂のある都市からは電車で２時間はかかる場所だった。<br />
<br />
「遅くなって申し訳ありません」<br />
「いいえ、時間通りですよ。お待ちしていました」<br />
　七変化の青く染まる庭先で彼らは向かい合う。<br />
　丁寧に頭を下げる常葉の後ろには、純白のセーラー服に身を包んだ少女。黒い髪に黒い瞳。青年の影にすっぽりと収まるその姿はまるで蔵の奥で眠る人形のようだ。<br />
「貴方が夏端さんね。今日はよろしく」<br />
「こちらこそ、お手数をお掛けします」<br />
　少女は昨日と打って変わって元気が良かった。片手にラムネの瓶、もう片手に林檎飴を持っている所を見ると、どうやら駅前の露店を覗いて来たらしい。反対に青年、常葉のほうがげんなりしているのは気のせいだろうか。<br />
　少女――翠仙<font style="font-size: xx-small;">(スイセン)</font>と言うらしい――は、林檎飴をくわえようとした手をぴたりと止めた。耳をそばだてるように、家の縁を取り囲む騒々と揺れる森に目を向ける。<br />
<br />
「常葉」<br />
　短く呼ぶ声に常葉は居住まいを正した。心得たように振り向いて、言葉を待つ。<br />
「なんかこのへん、気持ちわるい」<br />
「妖<font style="font-size: xx-small;">(あやかし)</font>の仕業かな」<br />
「分かんないけど、似た臭いがする」<br />
　翠仙は眉をひそめると、空になったラムネ瓶を常葉に手渡した。カラリ、と涼やかな音が洩れる。<br />
<br />
「ちょっと見てくる」<br />
「気をつけるんだよ」<br />
　家の裏手につま先を向けながら、彼の言葉に一瞬だけ振り返る。<br />
　そして大分大儀そうに笑った。<br />
「あたしを誰だと思ってんの。閻魔大王だって黙り込む翠仙様だよ？」<br />
<br />
　――『薊堂は狐憑き』。<br />
　跳ねる様に駆けて行く後姿を見送りながら、夏端は、もしや彼女がそうなのだろうかと予感した。<br />
<br />
　蒼天に高く、夏雲と蝉の声が木霊していた。<br />
<br />
<br />
　依頼主の人間を常葉に任せて、翠仙は歪んだ気配を辿り夏端家の裏手の山を登った。<br />
　山と言っても地図に名前が残るほどの大きなものではない。頂上まで行くのにもせいぜい半時。それにどうやら『気配』が残るのは中腹辺りで、それこそ数分もしないうちに辿り着くことができそうだった。<br />
　ひらひらと、スカートの裾が閃くのもお構いなしに駆けていく。常葉には『はしたない』とお小言を言われるだろうが、幸い彼は今側にいない。<br />
　大体、常葉は口煩過ぎるのだ。人間の形<font style="font-size: xx-small;">(なり)</font>で何を言うのか。<br />
　そう、ぶつぶつと想い巡らせながら。<br />
<br />
　足元の崩れて斜面と同化した階段道は、石やコンクリートで補強されている様子もない。手入れが行き届いていないというのは本当なのだろう。これでは仕方無いと思いながら、翠仙は『そこ』に行き着いた。<br />
<br />
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    <category>　短編</category>
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    <pubDate>Wed, 08 Feb 2012 10:17:06 GMT</pubDate>
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